【あれやこれや】 とてもとても温かい、たった1人の成人式

成人の儀、おめでとうございます

2022年の成人式の日だそうだ。ババアは成人式は【1月15日】と
脳みそに植え付けられているもんで、驚いちゃったYO!

なにはともあれ、ご成人になられる皆様、本日はおめでとうございます!

祖母から『冠婚葬祭』の『冠』は、成人式の事だと言い聞かせられてきた。
昔で言う元服に変わるもので、「死に様も自分で決められる年になったのだ」と
えらい恐ろしい事を習った覚えがある。死に様だけ自己決定できても仕方ないので、
『これからの生き様は、自分でケツ拭いていけよ!』って事なのだろう。

私には姉が2人いるが、姉の成人式の日は、我が家で鯛が焼かれ、お刺身にお赤飯と
「結婚式か」というくらいのご馳走が並んでお祝いされていた。
祖父母曰く、「両親もお祝いされる日」なのだそうだ。
子供を無事に成人するまで育て上げた父母も「お疲れさまでした」と労われる、
人生で最高の親子を皆で祝う日なのだと。

なので、今年成人される皆様、式典でたくさん「おめでとう」をもらい、祝ってもらった後は、
保護者の方に「今日までありがとうございました」とお礼を言ってみてはどうだろう。
凄く喜ばれるんじゃないかな。

圧倒される程のきらびやかさに囲まれて

そういう私の成人式の時はというと・・・。
振り返ると、ほろ苦い思い出がよみがえってきた。

私は20才の当時、国家資格を頂いて美容師として働いていた。
成人式の日は、前もって予約されたお客様が朝の3時には来られるので、
スタッフ全員で前夜から店に泊まり込み、着物の確認やセット飾りの支度をしていた。

1か月前くらいから、持ち込まれる着物や髪飾り。
流行の紋様や真っ白なファーのショール。着物に合わせた光沢のある草履。
私は店裏の和室で、半襟を縫いながらいつも見とれていた。

「なんて綺麗なんだ・・・」

もう、おしん状態。
見るもの触るもの、全てが素敵で『息を飲む』とはああいうことなんだろう。

式当日は、朝から晩まで食事もとらずにてんてこ舞いだった。
どの娘さんも襟足をキリっと結い上げ、キラキラした若さがこぼれるような眩しさだった。
見とれて手が止まってしまったのか、何度か注意された。

最後のお客様をお見送りした後、オーナーが
「今、指が何本か抜けても気づかないよ」と笑っていたのを覚えている。
私たちもグッタリとしながら、なんとか片づけを始めた頃に、オーナーから呼び出された。

「かーつぼちゃん、ちょっと」



「お呼びでしょうか」

私は、日中に注意を受けた事を思い出して、恐る恐る控室に入った。
オーナーは、美味しそうに煙草を吸っていた。一息ついて私を見ると、

「かーつぼちゃんは、成人式したくない?」

と聞いてきた。
私は一瞬何のことか分からなかったのだが、自分の成人式の事だと理解した。

私は確かに20才だけど、地元から離れて生活しているので、もともと成人式の場所も知らない。
ましてや美容院に務めて、猫の手も借りたい成人式の日に「成人祝いたい」なんて発想は微塵もなかった。
覚悟という大きなものではなくて、【出来っこないから、端から考えなかった】が合ってる気がする。

「何も考えていませんでした」

確か、こんなあほみたいな返答をしたと思う。オーナーはなぜか大笑いをして

「じゃ、やりたくない訳じゃないのね」

というと、店内の客椅子に座るように言われた。肩にタオルを掛けられて戸惑っている私を、
鏡越しの先輩スタッフたちがニヤニヤと交互に見ていた。
一人だけ掃除もせず座っているのは、居心地が悪かった。

「さあ、はじめるぞー!」

先輩スタッフが、私のメイクを拭き取り始め、違うスタッフが
私の上げていた髪をほどいて撫でつけていく。
なんとか分かってきた。私の成人式をしてくれようとしているんだ・・・。

メイクの下地を塗りながら、先輩の顔が真正面に来た。
私は照れて下をむいてしまったのだが、その時に涙が落ちてしまった。
「可愛くなるんだから、泣くなってww」先輩たちは大笑いしていた。
先輩たちみんなで選んでくれた大ぶりの生花をつけてもらい、初めて人にメイクをしてもらった。
目の前の鏡には、見慣れたいつもの自分はおらず、知らない人が映っていた。

「オッケーでーす!」

先輩が大きな声を出すと、オーナーから和室に来るように言われた。
和室には、レンタル用の着物が沢山吊るしてあり、オレンジに紅白の鶴亀と花扇の合わせ柄を指さして

「これが、かーつぼちゃんに似合うと思うのよー」

そう言って、襟の色も合わせた襦袢を着せてもらった。

余談だが、私は保育園から小学校6年生まで日本舞踊を習っていた。特別な舞台の時は
その舞台の専属の着付け師さんに着せてもらうのだが、私は2人がかりで着物を羽織らせてもらい、
前から手を入れられて、ぴしっと締めてもらうその感触が大好きだった。

懐かしい感触に、これは夢ではないかという浮かれた気分と、
本当に黙って甘えても良いのかという不安が交互に出てきて、落ち着かなかった。
呼吸が早くなっていたみたいで、オーナーは、「そろそろ落ち着いてww」ずっと笑っていた。

そして着付けを終え店内へ戻ると、さらに驚愕する事態が待っていた。

お寿司やオードブルが並べた待合用の円テーブルを囲んで、スタッフ全員に、拍手で迎えてもらったのだ。
入口からソファが移動してあって、パーティ仕様になっていた。

私はもう、決壊。堪えきれずに大号泣。

お店のオーナーから先輩から、たった一人の後輩まで、全員で私の成人式をしてもらった。
せっかく綺麗にメイクしてもらったというのに泣きじゃくる私に、
先輩がフェイルガーゼ(シャンプーで乗せるあれです)を差し出してくれて、3枚駄目にした。

皆に「成人、おめでとう!」と言ってもらい、食事を頂き(念のためにパーマ用のケープを着て食べた(笑))
お店の中で集合写真を撮り、実家に送るように個人でも写真を撮ってもらった。

どの写真も、目が真っ赤で困ったような顔で笑っている写真。

私は出来る限りのお礼を伝え、帰宅した私は、興奮したまま実家へと電話をかけた。
「お父さん、お母さん、お祖父ちゃんお祖母ちゃん。今まで無事に育ててくれてありがとう」
そして、お店からの特別な成人式をしてもらった話をして、両親も一緒にまた泣いた。

地元の成人式には出られなかったけど、ぜんぜん淋しくなんかない。
私だけの【忘れられない特別な成人式】のお話でした。







 

 

 

かーつぼ

女。過去の写真は半笑いのものしかありません。
得意顔は、半笑い。人生も、そんな感じで生きてきました。

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